「ワックスを使うとハゲる」
「薄毛だからワックスはやめたほうがいい」
ネットでこう見かけて不安になった方は多いと思います。RELIVEでも「ワックスって使わないほうがいいんですよね?」とよく聞かれます。
先に結論をお伝えします。ワックスそのものが薄毛を進行させると断言できる根拠は、私の知る限りありません。ただし、薄毛の方がワックスを使うと見た目が確実に悪化する使い方があります。しかもそれは、多くの方が普通にやってしまっている使い方です。
つまり問題は「ワックスを使うかどうか」ではなく、「どう使うか」と「何を使うか」です。
この記事では、薄毛専門美容師として毎日現場でお客様の髪を見ている立場から、やめたほうがいい使い方と、代わりに何を使えばいいかを解説します。
ベタつかず自然にボリュームアップ。薄毛専門美容師が実際に使っているアイテムです。
「ワックスで薄毛が進行する」は本当か
直接の原因になるという根拠は乏しい
ワックスは基本的に髪の表面につけるもので、毛が作られる場所は頭皮の内側です。整髪料をつけたから毛が細くなる、抜けるという直接的な因果関係は、現場で18年見てきた実感としてもはっきりしません。
実際、ワックスを毎日使っていてもまったく薄くならない方はたくさんいますし、逆に何もつけない方でも進行する方はいます。
ただし「頭皮に残す」のは別の話
気をつけたいのは、つけたものが頭皮に残ったままになることです。皮脂やホコリと混ざって毛穴まわりに残れば、かゆみやにおい、炎症の原因になり得ます。頭皮環境が荒れて良いことは何もありません。
ここで問題になるのはワックスの成分そのものより、落としきれていないことです。落とし方は後半で解説します。
本当の問題は「見た目が逆効果になる」こと
そして、私が一番お伝えしたいのはここです。
薄毛の方が一般的なワックスを使うと、その日のうちに、確実に、薄く見えるようになります。進行するかどうか以前に、鏡に映る自分がもっと薄く見えてしまう。これが現実に起きている損失です。
理由は3つあります。油分の重さで根元が寝ること、ツヤで地肌が反射して透けること、毛束の隙間から地肌が見えること。次の章で、具体的にどの使い方が該当するかを見ていきます。
薄毛の方がやりがちなNGな使い方5つ
RELIVEにご来店される方に「いつも通りセットしてみてください」とお願いすると、ほぼこの5つのどれかに当てはまります。
NG1. 根元からべったりつける
最も多い失敗です。「根元を立たせたい」という意図は正しいのですが、油分を含んだワックスを根元につけると、その重さで根元が寝ます。立たせたくてつけたものが、立たなくしている状態です。
根元を立ち上げたいなら、つけるべきは油分ではなく、乾かす前の水分と熱です。
NG2. 足りない気がして量を増やす
NG1の結果、思ったより立たないので量を足す。さらに重くなってもっと寝る。この悪循環に入っている方が本当に多いです。
薄毛の方に必要なワックスの量は、髪が多い方の半分以下だと思ってください。指先に薄く残る程度で十分です。
NG3. ツヤの出るタイプを使う
ジェル、グリース、ウェット系のワックス。これらは毛量のある方にはかっこよく決まりますが、薄毛の方が使うと頭皮が光を反射して、地肌の面積がそのまま強調されます。
「濡れ感を出したい」というご要望はよくいただきますが、地肌が透けている部分がある方には、私は積極的におすすめしていません。
NG4. 毛束を作る
毛先をつまんで束を作るセットは、髪が密集している前提で成立します。薄毛の方が同じことをすると、束と束のあいだから地肌が見えます。
髪をまとめるほど、隙間が生まれます。薄毛のセットで目指すのは束ではなく、面をふんわり保つことです。
NG5. その日のうちに落としきれていない
「疲れて風呂に入らず寝てしまった」「シャンプーが甘い」。これが続くと、頭皮環境の面では確実にマイナスです。
特に油分の多いワックスは一度のシャンプーで落ちにくいことがあります。つけた日はその日のうちに落とす。これだけは守ってください。
それでもワックスを使いたい方へ
ワックスを完全に禁止したいわけではありません。仕上げの微調整には便利ですし、使い慣れた質感を捨てる必要はありません。使うなら次の3点を守ってください。
1. マット系かパウダー系を選ぶ
ツヤの出ないタイプに変えるだけで、地肌の透け方が変わります。
2. 根元ではなく中間から毛先だけに使う
根元は乾かす工程で立たせ、ワックスは形の微調整だけに使います。役割を分けてください。
3. 量は指先に残る程度
手のひら全体に広げるのではなく、指先だけに取って、少量ずつ足していきます。
ワックスをやめて、何に変えればいいのか
ここまで読んで「じゃあ根元はどうやって立てるのか」と思われたはずです。答えは、乾かす前の工程に変えることです。
髪の形が決まるのは、濡れた状態から乾いていく過程です。乾ききった髪をワックスで動かそうとするから無理が出て、量が増え、重くなります。濡れているうちに根元を立て、そのまま乾かして固定する。これが薄毛のセットの本筋です。
この工程で使うのが、パウダー系のミストタイプです。乾くとパウダー成分だけが髪に残るので、油分による重さが加わりません。ツヤも束感も出ないため、NG3とNG4の問題も同時に消えます。
RELIVEが薄毛専用に開発した「EGUSU ボリュームアップドライミスト」は、まさにこの用途のために作ったものです。タオルドライ後の濡れた根元に吹きかけて、ドライヤーで乾かすだけ。頭皮についても問題のない成分設計なので、根元まで使えます。
使い方は3ステップです。根元中心に吹きかける、手でなじませる、乾かしながら形を作る。乾かすときは後ろから前へ、外側から中心に向かって風を当ててください。最後に冷風で固定すると、夕方まで形が保ちます。
ワックスは、この後の仕上げに少量使えば十分です。主役を入れ替えるだけで、使う量そのものが減ります。
スタイリング剤の正しい落とし方
頭皮環境の面で唯一気をつけるべきなのが、落とし方です。難しいことはありません。
シャンプー前にお湯で1分流す
いきなりシャンプーをつけるより、お湯だけで先に流したほうが汚れの大半は落ちます。ここを飛ばしている方が非常に多いです。
指の腹で頭皮を洗う
洗うのは髪ではなく頭皮です。爪を立てず、指の腹で動かしてください。
すすぎは洗う時間の倍かける
シャンプーの洗い残しのほうが、ワックスの残りより頭皮には良くありません。
油分の多いワックスを使った日で落ちにくさを感じるなら、二度洗いで構いません。ただし毎日二度洗いが必要なほど落ちにくい整髪料なら、そもそも薄毛の方には重すぎる可能性があります。
よくある質問
Q1. ワックスを使うと本当にハゲますか?
ワックスそのものが薄毛を進行させるという明確な根拠はありません。ただし頭皮に残り続けると、かゆみや炎症など頭皮環境の悪化につながる可能性があります。使った日にきちんと落としていれば、過度に心配する必要はないと考えています。
Q2. 整髪料を一切やめたほうがいいですか?
おすすめしません。何もつけないと根元が立たず、かえって薄く見えることが多いためです。やめるべきは「重いものを、根元に、大量に」つけることであって、整髪料そのものではありません。
Q3. パウダーワックスなら根元につけても大丈夫ですか?
パウダーワックスは油分がないため、根元に使っても重さで潰れにくいスタイリング剤です。ただし乾いた髪に使うものなので、濡れた状態から立ち上げたい場合はミストタイプのほうが適しています。
Q4. スプレーはどうですか?
仕上げの固定用としては有効です。ただしスプレー単体でボリュームを作ることはできません。顔から30〜40cm離して、全体に霧をかけるように使ってください。近くから集中してかけると束になって固まります。
Q5. 今使っているワックスが自分に合っているか判断できません
簡単な見分け方があります。手に取ったときにベタつくもの、伸びがいいもの、ツヤが出るものは油分が多いと考えてください。判断に迷う場合は、お使いのものをLINEで送っていただければお答えします。
まとめ
ワックスが薄毛を進行させると断言できる根拠はありません。ですが、使い方を間違えるとその日のうちに薄く見えるのは事実です。
今日から見直してほしいのは3点です。根元にべったりつけないこと、ツヤの出るタイプを使わないこと、そしてその日のうちに落とすことです。
そのうえで、根元を立たせる役割は乾かす前の工程に移してください。ワックスを主役から外すだけで、使う量も、見え方も変わります。
今お使いのスタイリング剤が合っているか分からない方は、LINEでご相談ください。
著者: 益満千尋(薄毛専門美容室RELIVE経営 / 現場に立つ美容師)

